大人になれないファーストラバー
第5章 初恋の君/観月
*
『綺麗な金髪だね。』
本当の自分を隠してたあたしに、その言葉はとても勇気をくれた。
『観月は背高くてモデルみたいだね。』
『観月の声かっこよくて好きだよ。』
毎日毎日。
朝が来る度に、君は素敵な言葉をあたしにくれた。
『観月、好きな人いたんだ。』
うん。いるの。
叶わない恋だって知ってる。なのに好きは止まらない。
地味で地味で、貧弱なカメラマン。
でもこいつにもまだ言えないことがある。
ねぇ、蕾。
あたしはどうしたらいいのかな。
ねぇ、蕾。
あたしの秘密知ったら、君も離れてくのかな。
大人になりたい。
大人になりたい。
悲しい人を丸ごと包んであげられるような、強い大人になりたい―…