大人になれないファーストラバー
腹立たしかったり、憎まれ口たたいたり、拗ねてみたり。
どんなことをしても、あいつはあたしより3年長く生きてるから大人で、そんなあたしを見てただ笑ってた。
あたしより大人なあいつ。
だけどあたしより弱っちくて。
何度も「いとしい」と言いたかったけど、年下なあたしが言っていいことなのか分からなかった。
いつも口に出す言葉は気持ちとは裏腹で。
今日こそは素直に自分の気持ち伝えたいと思った。
昨日の夜からごちゃごちゃしていた考え事を、歩きながら一つずつ整理した。
あとわずかで駅に着く。
ホームの手前にある小さな噴水が見えてきた。
いつもの通学時間にはムカつくぐらいごった返すくせに、今は人一人おらず静寂に包まれている。
どこの駅が約束の場所であったとしても、たぶん始発でもあと1時間は経たないと電車が来ない。
取りあえずどこかに落ち着こうと思い、朝のまだ涼しい空気の中を進む。
待合室のところまで来て扉を開いた。
すると、
「なんで…」
すると中には先客が。
くたびれたシャツにボロボロのジーンズ。目を隠す長い前髪。
首には年季の入ったカメラを提げて、そいつはすぱすぱと煙草を吸っていた。