大人になれないファーストラバー
第7章 偽り/咲之助
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初めてのキスを奪われたのは確か6歳の時。
気付かれないようにしてたみたいだけど、バレバレだった。
あの日は学校から帰ってきてランドセルを放り投げて、そのままリビングでひっくり返ってたら眠くなってきて。
軽く夢を見ていた時に何やら気配を感じたのだ。
そしていきなり何かが唇に当たった。
驚いて目を開きそうになったけど、堪えて。
こっちこそバレないように薄目を開けた。
そしたら目を瞑ってる顔が鼻の先にあった。
それが分かると途端に顔が熱くなってきて、気付かれるのが嫌でわざと寝返りを打った。
そうすると、唇の先が触れるくらいの軽いキスは簡単に離れた。
その時は、キスの時に息を止めることも知らなくて、そのまま呼吸してたし。
でも考えてみると、寝てるはずなのにいきなり息しなくなったらおかしい。
そもそもあれが何なのかすら、たぶんよく分かっていなかった。
ほんと、気が付いたのはつい最近のこと。
キス自体は知っていたけれど、愛しいなんて気持ちが分かるまでは、キスの意味を軽く考えてた気がする。