大人になれないファーストラバー



その予想出来るはずもないありえない光景に、頭が追い付かず、咄嗟に反応できなかった。





「おいっ なにやってんだよっ」




雨音が噛んだ手の甲から血が滲み出し、やっと体が動く。




「やめろっ バカかお前はっ」




雨音の腕を引っ張って口から手を引き抜こうとするが、雨音が喰いしばるもんだから余計に手の甲に歯が食い込んでいった。





「どうしたんだよっ」




「イラナイイラナイ。 もうキミに触れられないこんな手イラナイっ」




「雨音っ」





完全に狂ってしまったような雨音。
蕾のことを探すのもそうだが、今はこいつのことをどうにかしなくてはいけないと思った。





「やめろってっ」





体当たりして雨音をコンクリに引き倒した。

それでも雨音は自分の手に噛みついたまま離そうとしない。




「こんな役立たふの手なんは、ハイショからなけれハよかっはっ」




手に噛みついたままで叫ぶもんだから、何を言ってるのか曖昧にしか聞き取れない。




「離せっ 本当に手が千切れるぞっ」




上に馬乗りになって、雨音の髪の毛を鷲掴みながら腕を引っ張ると、なんとか口から手を引き抜くことが出来た。


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