大人になれないファーストラバー




駅の駐輪場に自転車を止めて、そこからそんなに距離のない佐伯の家まで歩いて行った。




白く大きな家が見える直線上の道に入った時、門が開いてちょうど佐伯が姿を現した。



遠目で見てもやっぱり派手な佐伯。髪がカールして今日は一段と華やかだった。


佐伯は門の前で立ち止まり、カバンの中を漁るとデカい鏡を取り出して前髪を指で整えた。


そして間もなく鏡をしまうと、体をこちらに向けて歩き出した。



俺と蕾は一瞬立ち止まったが、佐伯が歩き出したのと同時に頷き合ってまた進み始める。




佐伯との距離がどんどん縮まって。
ある度近づくと、ケータイに目を落としていた佐伯は顔を上げた。




はたと、俺たちはまた立ち止まる。




佐伯はケータイを握ったまま固まっている。

俺が一本踏み出そうと足を動かすと、佐伯は途端に方向転換して俺たちがいる方向とは逆へ走り出した。





俺は、逃げるその後ろ姿をすぐに追いかけた。





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