大人になれないファーストラバー
最終章 ディア・マイ・ファーストラバー




*



「…で? 元サヤに戻ったと?」



「いや、別に元から付き合ってたわけじゃないし」



「うっさい。言い訳すんなコンチクショー」




あたしと咲之助は、あの日倒れてからしばらく入院中の観月の病室に来ていた。


お見舞いも一応持ってきたのだけど、観月はあんまり喜んでないみたい。
みかんを1人1個じゃダメだったようだ。




最初、病室にあたしだけが顔を出した時は優しい笑顔で迎入れてくれたのに。
咲之助が続いて入って来た途端観月の人相が変わった。





「で、"蕾さんを僕にください"とでも言いに来たのかよ、サクタロウ。」



「いや"咲之助"だから。」



「すみませんね。生憎お父さんは機嫌が悪いんで蕾はやれません。」




「帰ってくれ」と、観月は咲之助に向かって言うと、ツーンと顔を逸らしてしまった。





「お父さん、そんなにキツク言わなくても…」




あたしが観月の機嫌を直そうとそう言うと、"サクタロウ"に「お前もそこでノるな」と怒られた。



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