あの暑い 夏の記憶

不気味に、ニシシッと笑いわたしたちに言い出した台詞に、日夏が一番奇声を上げた。

「私と心音と日夏で、…7月の31日と8月1日に泊まりで札幌に行こうか?」


…札幌!?

泊まり!?


「…マジで!?マジか~!花火も連れてってくれて、…札幌にも!さては…、オレを騙す気か!?」

葵ねぇの意外な提案は日夏には予想もしていなかったことだからか、どうも素直に信じられないらしい。


「そのかわり!きちんと宿題を終わらせること!」


「そんなもんチャチャっと終わらせるぜい!」

興奮した日夏は手持ち花火をグルングルン振り回した。



「だからかー!葵ねぇが変だったのー。なーんだ!そうだったんだー!!」

最近の不気味な葵ねぇの企みがわかって、わたしは頷き納得した。


「しっかり楽しんで来るからな!忙しい耕にぃはきちんと働けよ!」


「アハハッ!わかった、日夏の分もしっかり働くぞ?」


「…偉そうにしない!連れてかないよ!」


「ごめんなさい…」

珍しく素直に謝ると、また、腕を振り回した。

あんなにしゅんとしていたのが嘘みたいに。


日夏の手から、火の粉がヒュンヒュン飛び散り、とてもキレイだった。


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