あの暑い 夏の記憶
わたしと日夏は、ご飯を口にいっぱいかき込みながら、葵ねぇと耕にぃの行動をチラチラと眺めた。
「…コーヒー入れるね?」
「あぁ。葵のいれるコーヒー上手いからな」
「あっち行ってていいよ?」
「うん、何か手伝う?」
……。
「な、何だ…。あれは…。恥っずかし~いなっ!」
「…う、うん」
「まだ食べてるの?」
突然、葵ねぇは居間を覗き込んだ。
「あ、あんまり美味し~から噛み締めてんのっ!」
日夏はあたふたと慌てて、卵焼きを頬張りながら、必要以上に口をモゴモゴさせた。
わたしは、お味噌汁をズズーッと、わざとらしく啜るだけだった。
昨日の夜、日夏は耕にぃと一緒に寝たから。
わたしは何日か振りに葵ねぇと布団を並べた。
夏休みが始まって以来、耕にぃは葵ねぇと隣の部屋で布団を並べて寝ている。
夜中にトイレに起きた時、見えちゃったけど。
2人が手を繋いで寝ていたことは。
日夏には言わない方がいいな…。