あの暑い 夏の記憶
旭んちに着くと、旭は準ちゃんにくっついていて。どうやら準ちゃんが気に入ったようだ。
「…旭は準にぃが好きなんかな?」
「うん、だと思う…」
「もう準ちゃんにかまわないでっ!」
と、旭にキッと睨まれ、きつく釘を刺されていた日夏の姿を思いだした。
「…ちぇっ!DSしたかったな~っ!」
「…日夏!あれ…!」
わたしが指を差した。
その先には…葵ねぇと直さん。
「…ちっ!なんだあの男っ!仕事すれよっ!何で葵ねぇも、そんな赤い顔でデレデレしやがってよ~っ!耕にぃはどうしたんだよっ」
おもしろくなさそうに吐き捨てた。
「…髪なんて触んなよなっ」
「日夏…。葵ねぇ、あの人のこと好きにならないよね?」
わたしたちはただただ、こうしてたまに隠れて覗いたり、心配するしかできなかった。
でも、もっと早く気づいていれば。
みんなの悲しい顔は見ないで済んだかも知れないのに。