あの暑い 夏の記憶
4時30分。
葵ねぇに叩き起こされ、わたしと日夏は渋々となごりおしそうに布団から出た。
「んー…」
眠たい目を摩り、冷たい水で顔を洗ってみたものの重たい瞼は開かない。
窓から振りかかる外の景色は、まだ薄暗く霧がかっていた。
「今日も天気良さそうだ!」
葵ねぇも窓の奥を覗き込み、寝ている耕にぃの横をソッと、忍び足でお皿をテーブルへと運ぶ。
朝は決まって、真っ白なご飯と焼き魚、甘ーい卵焼きに美味しいお味噌汁。
それに、葵ねぇが漬けた、カブ昆布のお漬け物が加わる。
次の瞬間、少しずつ開いていく瞼を力を込め上に吊り上げた。
「んー!卵焼きおいし!」
「あんたは甘い卵焼き好きだもんねー」
「日夏も葵ねぇの卵焼き好きだって言ってたよ!」
「…甘過ぎっけどな、フフンッ」
ちょっと照れた後、鼻で笑った。
それを聞いた葵ねぇは、ちょっぴり嬉しそうに見えたのは、黙っておいた。