あの暑い 夏の記憶
ぼやーっとモヤがかった海が目の前に広がる。
わたしと日夏は日夏パパと海に来たー!
『お世話になってごめんなー、葵ちゃん』
って昨日、日夏パパが魚を持ってうちに来た。
日夏パパに、お仕事お手伝いたい!と、お願いしたら…。
『明日迎えにきちゃるな?』
というわけで、…今に至るってわけ。
やったー!海ー!
「…何でオレもなんだ~!何で昆布に攻撃されてんだぁ~!!」
隣で情けない雄叫びを発する。
「…あんな約束しなきゃよかったぜ~っ!」
「ヘヘッ!日夏ありがとう!」
でも、畑も好きだけど海もだーい好き!
ユラユラと漂う昆布を拾い上げるのが、お仕事なんだって。
「何で…そんなに嬉しそうなわけ?」
日夏はわたしを変な目で見つめてきた。
「だって、海大好きだもーん!!」
「…だもーんって…っ!バカかっ!?」
声を張り上げた日夏の唾が、わたしの瞼目掛けて飛んで来た。