あの暑い 夏の記憶
「…こうだよ!そうそう!」
「乳搾りより難いなー!」
「そこはこうだよ」
「葵ねぇ上手いじゃんかよ!」
「それかわいー!ストラップだー!」
葵ねぇが作り上げた、革のストラップ。
それは、編み目と編み目の間に均等にピンクのビーズが通されていた。
「心音にあげる!…作って見る?」
葵ねぇはストラップをブラブラ揺らし、わたしに見せた。
「…うん!」
わたしと耕にぃは、旭たちが囲むテーブルに近寄り、思い思いの色の刺繍糸を選び始めていた。
気づいたらわたしたちみんな、ミサンガ作りに励んでいた。
わたしはピンクと青と白の糸。
旭は、オレンジと緑と濃い青。
日夏は、濃い青と水色と濃い緑。
準くんは、白と黄色とオレンジ。
葵ねぇは、茶色と黒とグレーで渋い色を選び。
『難いよー?』と、葵ねぇが言うのも聞かず。
耕にぃは葵ねぇが作っていた、細い革でストラップを作り始めた。