あの暑い 夏の記憶
うめき声を出しながら、耕にぃと向かい合わせで革のミサンガを作ろうとしていた。
葵ねぇも、またストラップを作り始めた。
「日夏はそのミサンガどうすんの?」
葵ねぇは日夏が編み上げたミサンガに指を差す。
「父さんにやるんだ!すごいべ!」
「そっか!おじさん喜ぶわ、それ!これ心音も作るのー?」
ヘラヘラしながら、準くんと勉強をしている旭を見て。
「…わたしは後で作る!」
わたしは、明日いっぱいまでに終わらせなきゃいけない宿題に、取り掛かることにした。
こっそりと、葵ねぇの携帯電話に、ストラップを付ける耕にぃの影には、…気づかないフリをした。
そして、葵ねぇも。
耕にぃの携帯電話に、作ったばかりのストラップを付けていたのも…。