あの暑い 夏の記憶
カチカチッ。
葵ねぇが電気を消すと一気に視界が真っ暗になった。
わたしの隣にはすでに、日夏が寝息を立て、ぐっすりと眠り込んでいた。
暗闇の中で、葵ねぇはわたしに話しかけてきた。
「これじゃー、朝まで起きないね。あのミサンガ…、日夏にあげるんじゃなかったの?」
「うん。革の方あげるんだ…。日夏…。乱暴だから、何かすぐ切れちゃいそうだから…。葵ねぇ…、いつも地味だから手元くらい、…明るい方が、…いいと思っ、…た…」
「…ちゃんと考えてんだ、心音は心音なりに」
「…やっぱ葵ねぇ…。聞い、…てたんだね…。だから、作ろうって。…今日。…日夏、…と一緒で…、楽しか…、ったよ…」
「日夏も楽しかったみたいだよ?」
「そっか。…よ、…かった…。貝殻…。キレイ……。葵ねぇ、…ありがと…。おやすみ…」
「おやすみ心音…」
朝早く起きて、すっかり疲れ切っていたわたしには、充分すぎる程の睡魔が押し寄せていた。
まだ起きているはずの9時には、もう、深い眠りに引き込まれていった。