あの暑い 夏の記憶
7月30日。
約束の日を迎えた。
終わりそうもないプリントの束をどうにか減らないかと、念力を唱える。
「…減れ~!…ダメか~!昨日編み編みしてないでやればよかったぜ~!」
「…日夏は観察日記書かないの?わたしの花が咲いたよ!」
「そんなもんとっくに枯れた!」
「…一つ宿題が終わって。…良かったね…?」
「心音~?少しだけ見して?」
「コラ!見せてもらってばかりいないで、自分の力でやりなさい!」
「へ~い…」
気のない返事で、指を使い鉛筆をくるくるさせた。
旭と準くんは、せっせと宿題を片付けている。
そんな2人の方をチラチラ見ていると。
「今日は耕にぃ来ないんかな~?」
と、日夏が何気なく呟いた。
「あの人…いつ働いてるんだろ?」
わたしも何の気なしに呟いた。
直さんが畑で働いている姿を、見たことがないから不思議に思ったんだ。