あの暑い 夏の記憶
805。
と、書かれたプレートを差し。
「オレの誕生日だ!」
日夏が、無邪気にニコニコしている。
そんな葵ねぇは、優しく微笑んで、ドアを開けた。
部屋の奥に進むと、ベッドが3つ並んでいて。
「おぉ~!」
そう、大きな叫び声を上げた方を見ると。
「わぁー!」
札幌の街が遠くに広がる、窓から見える景色に自然に笑みが零れる。
「あれが、JRタワーか!?」
「小さーい!」
窓のあちら側は、映画のジオラマを見ている見たいだった。
「さーて!夕飯まで2時間あるし…温泉行っちゃおっか!?」
「おう!」
「日夏?一人で大丈夫ー?姉ちゃんと一緒に入る!?」
ニヤッと葵ねぇは、何かを企んでいる顔をした。
「ば、バカにすんな!!風呂くらい一人で入れるわい!」
顔を赤くし、鼻息を荒げる。
「恥ずかしがってー。昔はよく一緒に入ったじゃん。かわいなー日夏は!」
頭をくしゃくしゃに撫で。
葵ねぇは楽しそうに、エレベーターに乗り込んだ。