あの暑い 夏の記憶
変な緊張感が部屋を包み込む。
葵ねぇの側にいるはずの人は今、わたしの隣でゲームをしている。
耕にぃは、…心配じゃないの?
何で、…直さんなの?
隣の部屋から、腹減った~っ!と。何の気なしに現れた日夏は、部屋を見渡して大きくため息を吐いた。
「おわっ!何みんな寝てんだよ~っ!?まだ夕方じゃんか~っ。あれ…?葵ねぇ、…どしたんよ!?」
「アハハ…。柄にもなく立ちくらみ」
力無く笑う葵ねぇは、明らかにいつもとは違う。
すかさず耕にぃの横に体を下ろし。
「ど~なってんだよっ!!」
囁き声で怒り出した。
何も答えない耕にぃに、不信を募らせわたしの顔を見る日夏。
わたしも無言で、ただ首を横に振った。
「…日夏、ちょっと来いよ」
耕にぃはその腕を取り、2階へと連れて行かれる日夏は、どうみてもわけがわらなさそうにしていた。
わたしも、そんな2人のことを不思議そうに見ていた。