あの暑い 夏の記憶

変な緊張感が部屋を包み込む。


葵ねぇの側にいるはずの人は今、わたしの隣でゲームをしている。

耕にぃは、…心配じゃないの?


何で、…直さんなの?



隣の部屋から、腹減った~っ!と。何の気なしに現れた日夏は、部屋を見渡して大きくため息を吐いた。


「おわっ!何みんな寝てんだよ~っ!?まだ夕方じゃんか~っ。あれ…?葵ねぇ、…どしたんよ!?」


「アハハ…。柄にもなく立ちくらみ」

力無く笑う葵ねぇは、明らかにいつもとは違う。


すかさず耕にぃの横に体を下ろし。

「ど~なってんだよっ!!」


囁き声で怒り出した。


何も答えない耕にぃに、不信を募らせわたしの顔を見る日夏。


わたしも無言で、ただ首を横に振った。



「…日夏、ちょっと来いよ」

耕にぃはその腕を取り、2階へと連れて行かれる日夏は、どうみてもわけがわらなさそうにしていた。


わたしも、そんな2人のことを不思議そうに見ていた。


< 192 / 358 >

この作品をシェア

pagetop