あの暑い 夏の記憶

しばらくして一人で戻って来た日夏は、何もなかった顔でわたしのゲームを取り上げた。

「これ…、忙しいな~っ!!畑耕す毎日かよ~っ。牧場物語…侮れんっ」


ゲームの画面の向こうに夢中になるから。

おかげで何も問いただすことができなかった。



夜になって起き出した大人たちは、またテーブルを囲んで騒然しく酒盛りをした。

葵ねぇも、元気になったのかそれに参加する。


食べ物や飲み物を持って、日夏が2階には行っても。

耕にぃは、それから一度も下には降りて来なかった。



夜遅くまで鳴りやまない笑い声は、部屋中に響いていた。



寝てしまった日夏を抱えて。

「心音ちゃん、また明日から日夏のこと頼むな?」

そう残し、日夏パパとママは帰って行った。


旭たちも帰ってしまい、騒がしかった空間が静けさを取り戻す。


わたしは、開けていられない瞼を、ゆっくり閉じた。

 
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