あの暑い 夏の記憶
目が覚めると、とっくに8時は過ぎていて。
きちんと自分の布団で寝ていたわたしは眠たい目を擦る。
ガランっとした部屋の中。
葵ねぇの姿はなく、テーブルの上に用意されている朝食を口に運ぶ。
急いで自転車で向かった小屋には、すでに日夏も旭もいて。
日夏ママも旭ママも眠たそうな顔で。
「心音ちゃんおはよー。あーちゃん朝市に行ったわー」
「さすがに眠いわね」
口元を手で隠しあくびをする。
そっかー、朝市かー。なーんだ。
みんな日替わりで、朝市に行く。産地直売所に採れたての野菜を売りに出す。
ってことは昼まで戻って来ないんだ…。
旭パパも準くんと直さんもいるし、葵ねぇは一人で行ったようだった。
とりあえず、直さんと一緒じゃないことがわたしの心を安心させた。
「心音おせ~よっ!!みんなで遊びに行こ~ぜっ」
「へ?」
「旭の母さん厩舎行くんだってよ!!オレの母さんもいなくなるし!」
わたしとは違って、日夏はスッキリした顔で笑っている。