あの暑い 夏の記憶

「…日夏ママいなくなるの?」


「また実家の○○ってとこ行くんだってよ」


「そうなんだー…」


「…お前、どんだけ眠いわけ?」

わたしの口から繰り返し出てくるあくびを見て呆れ果てる。


「だって…昨日遅かったもん。日夏は途中で寝てたもん…」

と、あくびをした後、涙目になる目尻を拭う。


「…早く行こうぜ!!」

走り出す日夏の後ろを、とても追う気にはなれないわたしは、ゆっくりと歩き出した。


「早くこ~いっ!!」


「…ふぁーぁ…」



日夏…。

何であんなに元気なんだろ…。


遠ざかって行ったはずの人物が、またわたしの前に息を切らし駆け寄る。


「…ったく…走れよっ!!」

そう言うと、わたしの手を握り地面を蹴って走り出す。


「…日夏ーっ!!早いっー!」


「アハハッ。お前っ!!声がでけ~よっ」



思わず声を張り上げたわたしに、日夏は笑うけど。


本当は、手を握られてびっくりした。


ドキンッって、胸がなっただなんて、言えなかった。


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