あの暑い 夏の記憶
わたしの通う小学校は、全校生徒合わせてたったの18人しかいない。
その小学校まで家から歩いて4㎞。
わたしの足で歩いて、約2時間はかかる遠い道のり。
朝8時きっかりに村全体に響き渡るサイレン。
“ウ゛ゥ~ウ゛~…”
「…ほら~心音(ミオ)!早く乗りな!」
「はぁーい!」
叫び声を上げた葵(アオイ)ねぇはすでに助手席に座っていた。
もっぱら通学は軽トラック。
…しかも荷台の方。
毎朝、軽トラで迎えに来てくれる、耕毅(コウキ)にぃちゃん。私は耕にぃって呼んでる。
葵ねぇと耕にぃも一緒にわたしを待っていた。
「耕にぃーっ、おはよ!」
運転席でハンドルを握ったままの耕にぃにいつもの挨拶をして荷台に乗り込む。
「おはよう!しっかり捕まったか?」
デカイ声で窓から顔を出し、振り向いて荷台を確認。
「おぅ!!」
わたしは同じくデカイ声で返した。
「よぉ~し!しゅっぱ~つ!」