あの暑い 夏の記憶
8月5日。
今日は日夏の誕生日。
先にお誕生会をやってしまったから、何もないことに日夏はふて腐れる。
「…葵ねぇ~!ケーキくらい焼いてくれよ~っ!!」
「この間食べたでしょ!」
ドンッと置かれた茹できびに、うんざりする。
「ちぇっ。…とうきびじゃんかっ!甘~いのがいい」
「それも甘いです!とうきび以外ありません」
確かにとうきびは甘いけど、日夏が言ってるのは甘いケーキ。
「ちぇっ」
またわざわざ声に出して舌打ちをした。
それが聞こえた葵ねぇは、日夏のとうきびを取り上げ。
「食べないなら、今日一日何も食べなくていいよ」
と、怖い顔で言い放つ。
「…食べるよ」
お昼ご飯の危機だと感じたのか、とうきびをむしるように食べ始める。
一粒ずつほぐし取るわたしに。
「とうきびはこうやって食ったほ~が上手いんだぜい!」
と、とうきびを貪る日夏。
「…こぼしてる!汚ーい!」