あの暑い 夏の記憶
苦しそうな葵ねぇの声がする方にみんなが駆け寄った。
背中を摩る耕にぃに、耕にぃママがタオルを手渡す。
ジャーッ。と、水道が流れている。
「…朝から…吐き気がひどくて…ごめんなさい」
タオルで口元を拭う葵ねぇ。
「おねぇ…、病気なの!?」
「病院行った方がいいんじゃねぇの?」
「葵ねぇ…?」
そんな葵ねぇをわたしも旭も日夏もただ見つめるしかなかった。
「あーちゃん…」
旭ママがなぜか、ご飯を盛った茶碗を葵ねぇの顔に近づける。
「んっ!…やっ…」
と、眉間にシワを寄せ、それを酷く嫌がって見せた。
「…葵ちゃんっ!!もしかしてっ…!」
「赤ちゃん…!!」
耕にぃママと旭ママが手を取り合い、目を輝かせた。
「…えっ!?」
葵ねぇと耕にぃは、驚いた顔をして目を合わせた。
「…心当たりは!?」
目をキラキラさせて2人に詰め寄る旭ママたちは、ちょっと怖かった。