あの暑い 夏の記憶
「今回はまともそうだな~」
「アハハ、ほんとだね!」
「ビーズなんか見せられても嬉しかね~ぜっ」
わたしはテーブルの下で日夏の足を軽く蹴っ飛ばす。
痛っ~!と、大袈裟に顔を歪め痛がった。
「旭、良かったね」
旭は嬉しそうに、うんっ。と、ニコニコした。
「結構、畑仕事って大変なんだね。あんまり体なんて動かさなかったからあちこち筋肉痛だよ」
聡さんは肩や腕に湿布を張り付け苦笑い。
「さすが、空気が綺麗ね。清々しいわぁ。たくさん覚えなきゃならないから充実感はあるわよ」
そう周りを見渡しながら、珠子さんは背伸びをした。
葵ねぇはもう仕事は出来ないし。
準くんも学校が始まれば仕事は終わり。自分んちに帰ってしまう。
この2人が早く仕事に慣れればいいなー。
そうしたら、旭んちも楽になるよね。
いつもは小屋にいるはずの葵ねぇがいなくて、旭たちの笑い声。
日夏もすっかり大人しくなって、何だか静か過ぎて、寂しい気がした