あの暑い 夏の記憶
夜になっても、葵ねぇはずっと横になっていて、眠ったり、ぼーっとしたり、苦しそうな顔をしたり。
寝返りを打ったり、座ったりはしても布団の上から動くことはなかった。
「心音、ゲームちょっとだけ進んだよ」
「ほんと!?」
「まさかゲームの中でも種蒔いたりするとは思わなかったよ」
葵ねぇはゲームの画面を真剣に見ながら笑った。
そんな中、耕にぃは流し台で洗い物。
今日は、耕にぃが作った晩ご飯を食べた。
『昔はよく作ったなー』なんて言いながら上機嫌で。
肉じゃがと焼き魚は、葵ねぇのより味が濃くてしょっぱかった。
耕にぃに野菜の刻み方を教えてもらったけれども、やっぱり上手くいかなくて、ただの野菜の盛り合わせになってしまった。
「料理は慣れだから」
と、耕にぃも葵ねぇも口を揃える。
でも、わたしは。
すぐにでもきちんと出来るようになりたかったんだ。