あの暑い 夏の記憶
途中で通りかかった耕にぃは出荷からの帰り。
わたしはおじいちゃんたちが来たことを話すと。
「そっか、来たんだ。…んじゃ後ろ乗って」
って言うから、2号の荷台に乗り込んだ。
2号の荷台は久しぶり。
夏休みに入ってから乗らなくなり、ちょっと寂しかったんだ。
流れていく山々の間の、傾きかけた夕日は眩しかった。
家の前にはさっきの黒い車。
それを見つけ駆け足で、ガラッと開けた玄関の扉。
その向こうに、おじいちゃんとおばあちゃんが立っていた。
「…心音?」
おじいちゃんとおばあちゃんの間から覗き込むのは葵ねぇ。
「…急に連絡してすいませんでした。来て頂けるとは思いませんでした」
そんな台詞がわたしの頭の上から聞こえた。
「…いいのよ、耕毅さん」
おばあちゃんの目線はわたしの頭のずっと上。
わたしも日夏ももちろんだけど、一番驚いたのは葵ねぇだった。
…耕にぃがおじいちゃんたちを呼んだの?