あの暑い 夏の記憶
箱を片付けながら。
「ここに入れて置くから、見たかったらいつでも見ていいから。今日はもう寝るよ」
そう言うと、箱を戸棚にしまう。
部屋の明かりを消して、布団に体を預けた葵ねぇは。
「…心音?あんたが…好きな人が出来て結婚するまでは、ずっと私と一緒だからね」
と、呟く。
「…うん」
わたしは小さな声で答えた。
葵ねぇが、どんな想いでこの町に来て…。
どんな想いでわたしを育てて来たのか。
どんなに聞いても、絶対に話してはくれなくて。
まだわからないことばかりだけど。
でも、わたしは葵ねぇが大好きなのには変わりない。
この町でずっと、みんな一緒に過ごして行けたらいいな。
そう強く思ったんだよ。