あの暑い 夏の記憶
いつまでもしかめっつらでいる葵ねぇを見兼ねて。
おばあちゃんとおじいちゃんを歩くと遠い、耕にぃの家の前まで連れて来た。
「…ここだよ。あのトラクターに乗ってるのが広じぃだよ!耕にぃのお父さんだよ。耕にぃママは小屋にいると思うよ」
おばあちゃんとおじいちゃんは、畑の真ん中でトラクターを運転している、広じぃに目線を合わせた。
物珍しそうにして、ただトラクターが走り回るのを見ている。
薄暗い作業小屋の中で、とうきびの箱作りをしている耕にぃママがわたしたちに気づき手を休めた。
「…わたしのおばあちゃんとおじいちゃんだよー!」
と、叫んだのが聞こえたらしく、耕にぃママは軽く頭を下げた。
歩くと砂埃が舞うキレイとは言えない作業場で、大人たちは堅苦しい言葉を言い合う。
「おはようございます。初めまして…」
「朝からお忙しいのに申し訳ありません」
「こちらこそ、挨拶が遅れて…」
長い挨拶が交わされ、いつまで続くんだろう?と、思った時、耕にぃがカゴを抱えて現れた。