あの暑い 夏の記憶

突然のおばあちゃんたちの訪問に、耕にぃママは落ち込んでいて。

「…葵ちゃんは、…やっぱりこの町を出て行くのね…。何だか…やり切れないわね」

寂しそうにしていた。


ずっと黙っていたおじいちゃんが真面目な顔で。

「…違うんですよ。あいつはここに残りますからご安心下さい」

耕にぃママと耕にぃを交互に見る。


その言葉で、言われた2人はキョトンとしていた。


「昨日、少し話し合ったんです。籍を入れて、子供生んで…この町から離れたくない…って言ってました。心音ちゃんのことがあるから、正直考えられないなんて話すから…」

そう話すおばあちゃんの目がキョロキョロ泳ぐ。



…わたしのこと。


葵ねぇは…わたしのことで悩んでたんだ…。


「一人で育てるんだって何の相談もなく、飛び出して…。ここにお世話になって…。
でも…、あの子の気持ちはあの頃と全く変わってないのがわかりました。耕毅くんへの想いも…心音ちゃんへの想いも…」

ゆっくりと話すおばあちゃんの瞳が潤む。

 
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