あの暑い 夏の記憶
わたしの隣で、空を見上げていた旭が。
「みっ、心音…。あたしね…あの…心音に嘘ついてたことがあるよ」
突然、真剣な顔をした。
旭が嘘つくって何だろと疑問に思った。
「え?…何!?」
「うん…。あ、あっ…のさー…前にあたしに聞いたしょ。準ちゃんのこと…さ?」
「うん…?」
「あー、あれさ…。お兄ちゃんって…さ、あたし言った…よね?」
さっきから話しにくそうにする旭に微笑んで。
「うん、準くん。お兄ちゃんみたいだもんね!」
って、言ったら。
「…違うよっ!」
と、ちょっと怒った様子の旭に。
わたしは、驚いた。
「…え?」
旭が…お兄ちゃんみたいって言ってたのに。
なんだ…って。
てっきり旭は準くんが好きなんだって思ってたから…。
…ガッカリしたんだ。
旭は目線を下に落として。
「…本当は、さ…。す、す…好きなんだ…準ちゃんのこと」
打ち上げられた音に混じり。
そう、言ったように聞こえた。
「…好き…?」