あの暑い 夏の記憶
花火大会から3日後。
8月16日。
その日もよく晴れたじりじりと暑い1日で、陽の照り返しでアスファルトが妬けるように熱を持つ。
日夏は汗だくになりながら。
「飯だ~っ…」
熱が立ち込める地面を蹴って、小屋に向かって逃げるように走り出した。
「わたし走れないよー…」
後ろ姿を追いかける気にもなれないわたしは、ダラダラと流れ落ちる汗を拭う。
小屋に顔だけ覗かせると、扇風機の真ん前で早くも大の字で寝そべる日夏がいた。
「もうっ!ほらっ、ご飯食べるわよ!!」
日夏ママの足が日夏のお腹をつっついた。
隣の部屋ではすでにご飯を食べ始めていた、旭や準くんたち。
手を洗い終え、テーブルの前に座り。
まだ扇風機の前でうだうだしてる日夏に。
「日夏の分も食べちゃおーっと」
と、言ってやると。
「オレのはダメだ~っ!」
って、ババッとわたしの隣に座り出した。
食べることに関しては譲らない日夏に、おかしくなった。