あの暑い 夏の記憶
「ドラマの見すぎだよ日夏。昨日、フリースタイルみたでしょ?」
日夏が、毎週木曜日の9時のドラマを欠かさず見てるのを知っていた。
確か…人間関係が複雑なドラマだった気がする。
「だってよ~…、仲良しだしあの2人…。それに年近いし!絶対怪しいのに。2人共冷めてるつ~か。気にしてないつ~か」
「周りが言ってるだけで、葵ねぇも耕にぃも何とも思ってないだけかも!」
わたしもハサミをカゴに入れ、両手を合わせ叩いた。
「んなわけあるかよ~!耕にぃは絶対葵ねぇを好きだ!!いつも葵ねぇのこと見てるからな!」
「…葵ねぇを好きなのは日夏なんじゃないのー?」
「よ、よせやい!あんな男女!!」
またハサミを手に取り、片っ端からトマトの茎を切っていく。
「へぇー!日夏は葵ねぇが好きなんだ!へぇー!!」
わたしはいつもの仕返しで、日夏をからかった。
日夏は顔を赤くして、聞こえないフリをしていた。