あの暑い 夏の記憶
トマトの収穫を始めて1時間。
程良いトマトは全部摘み取ってしまったので、わたしたちはとうきび畑へと移動した。
「耕にぃどこだ~?」
背比べするみたいに並んだとうきび畑をかき分ける。
「あ!いたー!耕にぃー!!こ…」
わたしが耕にぃの元へ走って行こうとした時、日夏に腕を捕まれた。
「しぃ~!お前…あれ…」
日夏の目線の先には耕にぃと、葵ねぇがいた。
別に葵ねぇと耕にぃが一緒にいるところなんて、珍しくもないのに。
「なんかいつもと違うだろーが!」
と、行こうとするわたしを止めた。
わたしたちは気づかれないように、2人からもっと近いとこまで動く。
「今日も暑いね?」
「葵、大丈夫?」
「えー?何が?大丈夫だよ!」
と、微笑む葵ねぇ。
すると、耕にぃは手を伸ばし葵ねぇのおでこに触れた。
「…やっぱり…熱ある」
「えー…暑いからだよ!大丈夫!大丈夫!」
葵ねぇは拳を作り、腕を上げ下げしていかにも大丈夫だということを見せた。