あの暑い 夏の記憶
…当然。


「私?一人で家にいるよ」

と、言い放つ。


ほんとに耕にぃの言う通り…。

葵ねぇは意地っ張りだった。



そのあとも、広じぃに日夏ママも、泊まって行けって説得してるのに。

葵ねぇは断固として断っていた。


その様子を見て、耕にぃはなぜだか笑っているように見えた。


「じゃー、わたしも家に帰る!」

右手を思いっきり挙げた。


「ダメダメ。風邪かもしんないからあんたにまで移っちゃうでしょ。ま、ちょーっと働き過ぎただけだろうけど」

と、葵ねぇは強がって、風邪を否定した。


「……」

下に目線をやり俯いていると。


「心配いらんよ。すーぐ良くなるさ」

口角を上げ、ニカッと笑い、わたしの頭をクシャクシャ撫でた。


「…心配なんかしてないもん!!ふんっ!」

葵ねぇから思いっきり目を反らし、そっぽを向いた。


葵ねぇのことが言えないくらい、わたしも素直じゃなかった。

本当は…。

そんな葵ねぇがとっても心配だったんだ。
 
 
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