あの暑い 夏の記憶
「心音、算数の宿題やってきたかーっ!?オレーっ、ゲームしてたら宿題忘れたんだよーっ!!」
風の音に負けないくらいに日夏がやたら大きな声で叫ぶ。
「やってなーいっ」
当たり前の様に答えるわたしの言葉にすごく驚いて、肩を落とした日夏は軽トラに寝そべった。
「なんだよ~、お前もかよー!んじゃ…旭(アサヒ)にかけるか~!」
そして走ることすぐ、黄色いシャツを着た旭がこちらに向かって走りながら手を振っている。
「あー、旭っ!おはよー!!」
「おっは~っ!」
更に1㎞先で旭と合流した時、葵ねぇは助手席から降りて来て日夏を睨み付ける。
「長時間のゲームは目に悪いぞ?」
「いいんだも~ん」
案の定、開き直るヤツだった。
耕にぃの軽トラはスクールバスみたいな役割もしていた。
夏は暖かくて気持ちよくても、冬はとっても風が冷たくて寒いんだよ。
わたしと日夏と旭の3人は今年小学5年生。
家も近いから仲良し3人組なの。
土の匂いがする軽トラは私たちを乗せ学校へと向かう。