あの暑い 夏の記憶
わたしたち3人を学校で降ろした後、葵ねぇと耕にぃは畑仕事へ向かうの。
耕にぃの家の畑を中心に作物を作っていて。
うちと日夏んちの土地は耕にぃんちから借りている、葵ねぇは作業を手伝いに行ってるんだ。
人手がたりないからお互い手伝い合いながらの共同作業。
畑はあまりにも広すぎて、どこが自分ちの畑なのか、わたしにはわからないし。
大人たちもわかってない。
とにかくみんな助け合うことが好きなんだぁ。
だからみんな仲良し。
「しっかり勉強しなよー。特に日夏!」
「なんでオレばっかし!」
葵ねぇに指を刺され、悔しそうに足元の石ころを蹴っ飛ばす。
軽トラ2号は“ビッビッーッ”と、迫力のないクラクション音と共に走り去って行く。
あの軽トラは耕にぃの私物で、この夏買い替えたばかりの2号目なんだ。
だからわたしたちは軽トラを“2号”と呼んでいる。
わたしたちは耕にぃの2号を見送り学校の中へ入った。