あの暑い 夏の記憶
踊りながら2号へ飛び込むのは日夏。
「明日から…待ちにまった夏休みだ~!」
「日夏バカじゃないの!?夏休みなんて嫌い!!だって…、畑仕事が待ってるんだよ…」
日夏に比べるとテンションの低い旭。
「今年も日夏パパの昆布の手伝いに行くんだー!」
旭と違ってわたしは夏休みが楽しみー!!
「けっ!オレはぜって~、行かね~!!昆布の何がおもしいんだよっ。た~だっ、昆布乾かしてるだけじゃねぇかよっ!オレは札幌に行くんだ!!」
あれから3日。
毎日、口を開けば「札幌!」と、日夏はやかましかった。
この時期、農業も酪農も牧場もどこもかしこも人手不足に悩まされていた。
旭んちも耕にぃんちも、期間限定で季節雇用しているんだから。
だから、経営者からすると夏休み期間はとても嬉しい時期なんだ。
そんなわけで…。
もちろん、日夏の札幌行きは現実じゃ…有り得ないんだー!
「あんたたち!昼までまだ時間あるから雑草取りしてねー」
「はぁーい」
わたしたちは、声を揃えて返事をした。