あの暑い 夏の記憶
「逃げ足だけは早いんだからっ!もうっ。私たちも行こうか」
日夏ママと旭ママも追いかけて、小屋の中は大分静かになった。
「やったー!日夏とペアじゃなーいっ!準くんっ!一緒に行こー!」
わたしと準くんはトマトの箱詰めに取り掛かる。
「ほーんとみんな仲がいいんだねー?」
ガサッ、ガガッ…。
箱を作りながら準くんは、表情をくしゃくしゃにしていた。
「うん!みーんな仲良しだよ!日夏も旭も!旭ママも日夏ママも!耕にぃも広じぃも!」
わたしは両手を広げた。
「そっかー。いいなー。うちもみんな仲がいいけど、こんなに笑い声はしないから。仕事は仕事って感じ」
「そうなんだー。ここはみーんな笑ってばっかいるよ!日夏は何か…大袈裟スーパーヒーローだけど!」
フッとはにかんだ顔が、耕にぃにちょっとだけ似ていて。嬉しくなる。
「大袈裟スーパーヒーロー!?日夏くんは面白いな!」
「あははっ」
大きな口を開け笑ったあと。
ただのバカだよ。と、付け足した。