あの暑い 夏の記憶
次の日の朝。
わたしと葵ねぇが小屋で仕度をしていたら、わざとらしくあくびをしながら騒がしく入って来た。
「…4時に拉致られた~っ」
「随分早いじゃん?よく手伝いに行ったねー?偉い!」
葵ねぇが珍しく日夏を誉めた。
「だってうるせ~んだぜい!」
得意になって、朝からの行動を話し出した。
たまたま家にいた日夏パパ。
日夏パパは滅多に海から帰って来ないんだ。
「…好きなもん買ってやるから来い!ってよ~っ!行ったら昆布拾いやらされてよ!!何も買ってくれなかったしよ~っ。騙されたっ!」
ゴロンっと、畳に寝そべると。
「大人は嘘つきだぜ~っ!」
と、悔しさを思い出したかの様に静かに吐き捨てた。
「んじゃー…、海行って来たの!?いいなー!!わたしも行きたーい!」
日夏の周りではしゃぎ始める。
「だ~っ!うるせ~な!ばっ、バカかっ!遊びじゃないんだぞ!オレは働いて来たんだぜい!」
ムキになり、座布団を投げ付けてきた。