砂漠の月歌 〜dream story〜




 ロゼオは漸く何かを思い出したように話し始める。



「野の国にいた時、
君はまだ小さかったからね…」



「何…?何を…言ってるの…?」


ロゼオの言っている意味がよく分からなかった。

それ以前に、何故小さい頃の自分を知っているのか、それが不思議だった。


……しかし次にロゼオが言い捨てる言葉で、それは一瞬で、絶望に変わる。



「元気かい?君の親…

━━━あぁ…、僕が殺したんだった」


ロゼオはそれを笑って言った。同時に王子も目を見開く。



(……何…?何を言ってるの…この人は…)


放心している娘に、ロゼオは続ける。



「やっぱり知らなかったんだ…
教えてあげようか?あの日の事」



「ロゼオお前っ…!!」


王子は怒りで叫ぶが、ロゼオはそれを気にせず娘に更なる追い討ちを掛ける。



「君さ、
両親が病気か事故で死んだと思ってるでしょ…

そんな訳ないよね、
だったら君が知らない筈ない。
幼かった君には
教えられなかった両親の死因…」


確かに王子はあの日の夜、娘から両親の事を聞かされたが、理由はまでは聞かされなかった。

娘ですら知らなかったのだ。
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