砂漠の月歌 〜dream story〜




「……許さない…」


剣をロゼオに向けながら睨み付ける娘の目からは、沢山の涙が溢れ出ていた。



「……貴方を…、殺す…」


その瞳は既に、怒りと憎しみで我を忘れていた。



「殺す?
その剣で?……出来るのかい?君に」


怒り狂う娘を見て、ロゼオは嘲笑うかのように言い放つ。



「煩いっ…」


娘の目から流れる涙が、夕日に照らされ、それは血の涙のように見えた。



「君は、可哀相だね。
今君の心は、怒りと憎しみでいっぱいだ…
そんな君は、本当に可哀相だ」



「煩いっ…!!!!」


娘の頬を伝う涙は、止まる事を知らない。



「私から両親を奪った貴方が…
よくも、そんな事をっ…」


両親を殺したロゼオへの憎しみが心を食い尽くし、支配する。



「何も知らない癖に…!!
私から温もりを奪った貴方がっ…!!
私に可哀相なんて…何様のつもりだ…!!」


まるで他人事のように自分を憐れむロゼオに、そう叫んだ。



「……貴方も…、同じ目に遭えばいい…」


震える両手で剣を強く握り締め、銃を向けるロゼオに駆け出して、刺そうとした。

ロゼオは、娘に狙いを定める。
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