砂漠の月歌 〜dream story〜
04 森からやってきた娘
表参道には沢山の出店が並んでいる。
今日は王子の誕生日故、街中も祭りのようになっているのだ。
「よってらっしゃいみてらっしゃいっ!!
今日だけ特別価格で
この店の魚全〜部半額だぜっ!!」
いつもより沢山の人々が行き交う中、出店のほとんどからそんな声が聞こえてくる。
……そこに、
「それ…、本当?」
一人の客が魚屋の前に止まる。
「へいらっしゃいっ!!
……おっ。香澄ちゃんじゃねーか!!」
魚屋は客の存在に気づくと、にこやかに挨拶する。
……その娘を香澄と言った。
砂漠の国だから故、太陽の暑い日差しの中、白い日傘でそれを遮っているその娘は、太陽のようなオレンジの髪を靡かせていた。
「今日は全部半額の日なの?」
「はははっ、そうとも言えるなっ!!
どうだい?買ってくかいっ?」
それを聞くと、娘は嬉しそうに微笑んだ。
「じゃあ…、マグロ2つ」
「はいよっ!!」
日に焼けていないその白い肌や、くるっと少し内巻きの長い橙色の髪は、誰もを魅了させる程美しかった。