砂漠の月歌 〜dream story〜
また、それは魚屋も例外ではない。
「今日もまた可愛いじゃねーか。
よっしゃ、特別に半額の半額だっ!!
持っていきなっ」
「そ、それじゃあ
商売にならないんじゃないかな…あはは…」
困ったように苦笑すると、娘はお金を魚屋に渡しながら尋ねた。
「そう言えば…、今日は
いつもより賑やかだね。何かあるの…?」
娘がそう聞けば、当然の如く魚屋は驚きを隠せないでいた。
「ありゃっ!?香澄ちゃん知らねーのかい!?」
「うん…。」
しかし娘の様子を見て直ぐに納得する。
「……まぁ、
この国にやって来てまだ1年だから
無理もねーな。
今日はこの国の王子の誕生日なんだよ。
丁度…香澄ちゃんと同じ歳になるかな」
だが娘は理解したものの、平然としていた。
「だから半額なんだね」
「いや、
そういう意味じゃ…まぁ合ってんだけどよ。
しっかし、相変わらず香澄ちゃんは
何事にも動じないってかマイペースってか…」