砂漠の月歌 〜dream story〜
その夜、宮殿のラウンジから一人、窓辺から静まり返っている夜の街を眺めている王子がいた。
すると、コンコンッ…と扉がノックする音が聞こえ、扉が開く。
「……王子、」
入ってきたのは、執事と姐御だった。
「今日も一日、お疲れ様。
傷はもう大丈夫なのかい?」
「……あぁ、何とかな…。で、何か用か?」
王子がそう聞くと、二人は何故かにやにやしてこちらを見ている。
「…?何だ」
すると姐御はにやけながら言った。
「……王子に、珍しい客人だよ」
「俺に…?誰だ?」
と言っても、自分に訪ねてくる客など思い当たる人はいない。
「それは自分で会って確かめてきなよ」
「はぁ…。で、何処にいるんだ?」
王子が尋ねると、執事は少し間を置いて人差し指を、クイッ…とゆっくり上に向けた。