砂漠の月歌 〜dream story〜
……一方、森から出たタキシード姿の青年は溜め息をついた。
「はぁ…。此処にもないのか、豆腐屋は…」
そう、つい先程娘と擦れ違った青年は王子だった。
どうやらあれからまた言い付けを破って宮殿を抜け出したらしい。
「流石に森の中はないか…。」
そしてまたしても豆腐屋を探していたようだ。
「舞踏会までまだ時間があるな…。
夕方頃には戻れば良い、か…他を探そう…」
多少時間を気にしながらも、王子は街の路地に入っていった。
それ以前に、まだ探す気なのだろうか。
━━現在の時刻、午後2:00…。