砂漠の月歌 〜dream story〜
第一章:始まりの宴
宴だ!!宴だ!!今日は宴だ!!!!
口々に街の住民達は叫ぶ。
まだ朝だというのに街中からはその言葉が聞こえてくる。
此処、砂漠の国の中心街の表参道に並ぶ店のスピーカーからは賑やかな音楽が街中に流れている。
「今日はめでたい日よっ!!
何てったって今日は
王子が生誕された日ですものっ」
「王子もついに16歳か…
あの頃から随分成長なされたもんだな」
路地で擦れ違う度に住民達はそんな他愛もない会話をする。
……そう、今日はこの国の国王の御子息、王子の誕生日なのだ。
すると道端で話し込んでいる三人の娘達から、またこんな話が聞こえてきた。
「ねぇねぇ!!
今日は夜遅くまで宮殿で舞踏会があるのよっ
自由参加らしいわ!!
王子様と踊れるかもよ〜っ?」
「キャー!!何かシンデレラみたーいっ」
「馬鹿ね…だったら誰がシンデレラ役なのよ?」
「それはあたしよ」
「ほざいてんじゃないわよ。私よ、私っ!!」
「いえ、ここは私が!!」
仲が良いのか悪いのか、どちらにせよ気が強い娘達なのは確かだろう。