砂漠の月歌 〜dream story〜




 そして満月の光は、外壁のてっぺんにいる青年を照らし当てた。

……その瞬間、娘は目を奪われた。



「…!!」


━━━外壁に背を預けて眠っていたその青年は、とても綺麗な容姿をしていた。



「あ…」


風に靡く緋色の髪が、眠っている青年の横顔に影をつくり、優しく頬を撫でる。

その青年の横顔を見た瞬間、娘は無意識に何かを思い出していた。
昔の何かを…。





『約束だよ…?』




『うん!!僕、
絶対また見つけるからね、
君のことっ』




『ゆ〜びき〜りげ〜んま〜ん…』




━━━はっ…、と娘は我に返る。


暫く呆然としていると、外壁のてっぺんで眠っていた青年の目が欝すらと開く。



「……ん…?」


言わなくても分かるだろうが、実は眠っていたのは王子だったりする。

しかし娘はまだそれを知らない。
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