砂漠の月歌 〜dream story〜




……ステージの隅には、宮殿の執事と使用人頭の姐御が話し込んでいた。



「おい、どういう事だ…!?
連れてくるんじゃなかったのかいっ…」


大広間の不穏な空気に姐御は執事の首をガクガクと激しく揺する。



「ぐぇっ!!
そ、それがよ、何処にもいなくてだなっ…
森から出てきた所を誰か見たらしいけど…」



「だったらもっと
森の付近を詮索すれば良いだろっ…?」


ガクガクと揺らされて、顔が真っ青になる程物凄い勢いで首を絞められる。



「ぐぇぇ〜っ!!ちょ、ちょっと待っ…」


首にする、ではなく、首を折る気でいる姐御に必死で抵抗する。



「と、豆腐屋探してるのは確かだよっ…」



「豆腐屋!?
そんなもの今はどうでも良いんだよっ」


そうこうしている内に、大広間では先程よりざわめいていた。



「何やってるんだ王子はっ…
もう舞踏会は始まってるんだぞ…!?」



「お、俺に言われてもっ…
てゆーか、そろそろ手を放して…」


ステージの隅から舞踏会に集まった人々を伺うが、もう何人かはこの状況に不審を抱いている者もいる。



「どうすんだい、このままじゃ全部台なしに…」
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