砂漠の月歌 〜dream story〜




……曲が終わると同時に、一呼吸置いてから大広間に沢山の拍手と歓声が響いた。

王子は椅子から立ち上がり、恭しく一礼する。



「━━━有難うございます…。」


拍手が止み終わると、王子は何事もなかったかのようにステージの隅にいる執事と姐御のもとへ戻っていった。



「素晴らしかったわね…!!王子の伴奏…」



「私始めて聞きましたわ…」


拍手が止んだ後、口々に感想を述べている人々。


……一方ステージの隅では、今だ執事はあたふたしていた。



「おお王子っ!!
何処行ってたんだ!?つーかいつ来たっ…?」


恐ろしい程の落ち着きのなさに王子は呆れ返る。



「吃り過ぎだ馬鹿が。
ちょっと豆腐屋巡りをした後居眠りをな…」


その思った通りの答えに、執事は姐御に言い返した。



「ほら見ろっ!!
やっぱ豆腐屋巡りしてたじゃんかっ」
「煩いっ!!」


少々興奮気味の執事に一声怒鳴り、姐御は王子に向き直る。



「……で、いつからいたんだい?」



「さっき、ステージ裏の窓から入り込んだぞ」


姐御の長くなりそうな説教に王子はあからさまに開き直る。
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