砂漠の月歌 〜dream story〜
非常に信じがたい事実だった。だが今は、その現在を受け入れる他なかった。
「この国に帰還される時だったらしい…。
隣の国の国境を越えた所…、護衛がいたが、
何者かに銃で…射殺された」
書簡には、全てその通りに記されている。
「……国王が暗殺って…
何だよそれ…どうすんだよこれからっ…!!」
「落ち着きなっ…!!!!
取り乱しても仕方ないだろ!!」
取り乱す執事を怒鳴り付けが、それで執事は収まりはしなかった。
「落ち着ける訳ねーだろ…!?
姐御は、平気なのかよっ…」
「平気な訳ないだろっ!!!!私だって…
長年仕えてきた国王が暗殺されるなんて、
こんな…こんな悔しい事はないよっ…」
ギリッ…と姐御の歯を食いしばる音が聞こえる。
「……そうだ…国王が死んで喜ぶ奴なんて…
今この部屋にいはしないんだよ…」
シェフやメイド達も暗い面持ちで黙り込み、執事は手に携えていた書簡を握り締める。
「とにかく…、今は悲しむのではなくて、
これからどうするかを考えるべきだ…。
これから沢山やる事が増えるよ」